こんにちは。海外現採平凡リーマン”ぜろぐら”です。
今回は香港人のリアル、経済格差と生活について話していきたいと思います。
一回目として特に少子高齢化と公営住宅についてお話ししていいきたいと思います。
香港の少子高齢化
香港も日本に負けず劣らず少子高齢化が進んでいます。
高齢化
「65歳以上人口の比率」のランキング(アジア) ※2020年を見てみると以下のようなランクとなっております。
1位 日本:28.5%
2位 香港:18.2%
3位 韓国:15.8%
4位 シンガポール:15.1%
5位 タイ:13.0%
香港の人口は約740万人いますのでそのうち約150万人ほどが老人です。ざっくり5人に一人は老人ということで高齢化社会となっています。日本の4人に1人よりは少ないのですが、それでもかなり多いほうで、アジアでは二番目に高齢化している地域ということになります。人口ピラミッド的には現在60歳ころの年齢層の比率が一番多く、今後5~10年で更に高齢者が飛躍的に増えることになりそうです。
また高齢者及び高齢者予備軍の方は、文革の際に内地から逃げてきた方も多く、経済的基盤が薄いので、様々な援助が必要な年代でもあります。
少子化
香港の出生率はどうでしょうか?最新2018年のデータを見ると1.08という数値になっています。ここ数年の度重なる政治不安を鑑みると2020年は1.0を切っていてもおかしくない状況ですね。
出生率が低いのは他の先進国と同じような事情であると推察しますが、香港の事情を加味するのであれば住宅面積の低さと物価高という面が挙げられると思います。
住宅面積が低いのは皆さん香港の観光写真を見ていただければご存知の通りで、限られた土地に大人口が居住していますので極狭の1Roomや2Roomがほとんどです。たまにStudioタイプに家族三~四人が住んでいる場合も見受けられるほどです。こんな状態では1カップルに1人の子供が限度です。二人以上子持ちの場合は広い家に引っ越しが必要になりますのでコストが割高です。
また単純に物価も高いです。住居費はもちろん、ほとんどが輸入食品であるので食費も正直バカになりません。日本以上にかかってきます。
補足ですが香港の人口はこんな状態でも今後も維持もしくは微増との予測です。それは中国内地からの移民が毎年4万人前後は見込まれるからです。(今後香港人の海外移民もどんどん増えるのでプラマイゼロくらいになるのではと個人的には予想していますが・・)
香港の公営住宅
次に香港の公営住宅についてみていきましょう。香港の公営住宅政策は非常に特徴的で、外国人からみたらかなり特異の存在に写ります。
現状とヒストリー
香港政府は世界最大の不動産所有者でもあります。じつは香港の人口の約45%は公営住宅に住んでいます。つまり人口740万人の内、約333万人が公営住宅にすんでいます。香港政府が公営住宅を提供(せざるを得ない)する背景は主に三つがあります。
一点目は特に中国内地で文革がおこり、弾圧が強まる中で、内地からの不法移民が急激に増加して、家のない人が急増したためです。流石にあっちこっちに浮浪者がいるような状況では困りますので、公営住宅を急ぎ建設し、とても安い価格で入居させていきました。
二点目は社会不安や治安の安定という面がありました。いわゆるガス抜き的な意味合いです。先の内地からの流入人口が治安を悪化させたり、反社会的勢力になってはいけません。そして高騰する住宅を購買できない住民の不満を抜くという狙いもありました。
三点目は安価な労働力を確保するためです。特に高度成長期には安定した安価な労働者を確保し、経済競争力を維持する必要がありました。今やそれも昔、人件費含め非常にコストが高いというのが香港の印象であると思いますが・・
香港の公営住宅はいたるところにあり、今も毎年一万~二万戸前後の提供を実施しています。
課題
香港の公営住宅は低所得者層を支え、社会不安を緩和するなど一定の成果を上げていますが課題もあります。
一点目は公営住宅の戸数がまだまだ不足しているという状況です。香港の平均給与は1万7千HKD弱ということで経済的に苦しい層の人が大勢います。こうした低所得者までまだ住居が行き届いておらず、まだ公営住宅の申請をしても平均5.7年待つ必要があります。香港政府はこうした状況を緩和するため、平均3年の待機期間となるように今後調整するとのことです。
二点目は公営住宅の居住申請に月収上限があることです。その時々によって金額がちがいますが、中間~富裕層の人は申請資格がありません。入居者に収入上限を求めるのは本当に困っている人に対しての救済という意味では非常にいいことなのですが、すでに一般的建築住宅の高騰が激しく(香港不動産の平均価格は1億3千万円超)、中間層の給与をもらったところで一般住宅を購買するためには滅茶苦茶厳しい状況に置かれます。。
ですのでここが肝なのですが、香港人の20代や30代は考えるわけです。給与は低くてもいいから公営住宅の安い住居費を選ぶのか、それとも給与UPして中間層へ上り世界一高い不動産の購買を目指すのかと・・
公営住宅に入ってから、収入がかなりUPしてしまうと、最悪退去命令が出てしまうこともありますが、今のご時世給与も上がりづらいですし、そこまでにはならないんじゃないかと推察します。であれば安い公営住宅に住みながら、表の額面にでないサイドビジネスで副収入をえるなどして現金を貯めたほうが得と考える人がいるのも納得です。
まとめ
進む少子高齢化で現役世代の負担はますます高まり、そして世界一の不動産価格と物価高。そんな中救いの手となりうる公営住宅は平均5年以上待たないといけない。。今まさに香港は地獄の一丁目に来てしまった感があります。
それでもこれまでは自由があった、開かれた経済で厳しくも何とか楽しくやってこれたという香港人でしたが、国家安全法はじめ中国からの政治的な圧力が増す中で、今は地獄の二丁目に差し掛かったようなところであるかと感じています。
次回は香港人の二極化と、それぞれの層のリアルな対応を私の肌感と香港嫁の話を参考にまとめていきたいと思います。
コメント