こんにちは。海外現採平凡リーマン”ぜろぐら”です。
今回は前回に引き続き香港人のリアル経済格差と生活について書いていきます。
この第二回では前回の内容を土台にして香港人の各ヒエラルキーと今後の対応についてです。
前回の第一回を読んでない方は以下も参考にしてください↓
香港のヒエラルキーと経済格差
住んでみるとわかりますが香港にはヒエラルキーがあり、それぞれの生活様式と対応は違ってくるものになります。一億総中流といわれる日本人的な感覚ではあまりピンとこないかもしれませんが、確かに階層があると感じます。
データがないので個人的な感覚となってしまいますが、低所得層=60%、中所得者層=30%、富裕層=10%くらいの割合であると思います。
60%の低所得者層について
公営住宅もしくは公営住宅に住まないと生活が成り立たないと思われる層で、大体月収1万8千香港ドル(約24万円以下)以下くらいがそれにあたると思います。非常に狭い家に二世帯、下手したら三世帯が一緒に住んでおり、貯蓄額もあまりない人たちが多いと思います。
上をめざして働き所得が増えると、逆に所得上限を超えて退去しなければならない可能性もありますので舵取りが難しいところです。この階層の人々は所得が低すぎるので、所得課税されない状態の方がほとんどです。
30%の中間所得層について
なまじ、まあまの給与があるので、一般住宅を賃貸で借りたり、もしくは頭金を貯めて住宅を購入しローン地獄に陥りながら何とか一戸の家を持っている層です。(そう僕です!!)月収レンジは大体1万8千~4万香港ドルくらいであると思います。
まさに私が所属するのがここなのです、が・・この層が一番厳しいといえます。下手に給与があるので公営住宅への入居ができません。なので高い賃貸をしてお金がどんどん抜けていきます。更に所得課税もまあまあなので、税負担もあります。
それでもいつか這い上がる夢をみて、住居を蟻部屋にして生活費を節約し、頭金を貯めたこのレイヤーの方々は念願のマイホーム(投資も兼ねてますが)を入手します!しかし、それから20~30年もの間ローン地獄が待ち受けていることを忘れてはいけません。購入したその先もまた茨の道なのです。
10%の富裕層について
説明する必要がありませんね。相続税のない香港では持てるものはずっと持ち続けます。既にある資産が勝手にお金を生み出してくれます。家族で経営している会社やコネがあるなら、高い所得も同時についてきます。
タックスヘイブンである香港の所得税比率は持てるものにとっては非常に低いものであり、大した負担になりません。ベンツやテスラを乗り回し、子女教育も至れり尽くせり、家にはメイドありと香港生活におけるヒエラルキーの最上層に位置するまさに勝者です!
各階層の生活と今後の対応
こうしたヒエラルキーのなか各人はどのように考え、今まさにターニングポイントを迎えている香港での生活にどのような戦略を考えているのでしょうか?香港で実際に見聞きする中で感じることがあります。
低所得者層の対応
言葉は悪いですがイソギンチャク作戦です!香港の自由が縛られようが何をしようが構いません。政治的・経済的に頑張ることは逆にリスクになります。
所得が上がれば、一番厳しいレンジである中間層に行かねばなりません。一度そこに上がってしまえば、上り続けなければ生きていけないのです。であればさざ波を立てずに、現状に満足し、現状を維持することのほうが利益があります。だから目立った行動はしません。そこそこでいいのです。
別にこうした生き方を卑下するつもりもありません。一般住宅価格が高すぎるので、もはや中間レイヤーに上がるにはかなり厳しい状況です。今後も現実的に考えれば香港にステイし、公営住宅はじめ様々な支援を受けて生活する方が得です。
私の会社の実話ですが、とある若手社員が”給料を上げないでくれ”と上司に懇願していました。そう彼は所得が増えると不利益を被る可能性が高いのでそのように訴えていたのです。はたから見ているほうとしては異様な光景でしたが・・
中所得者層の対応
この層の多くは率直に移民を考えていると思います。高コストの生活費を賄い続けるために、仕事で頑張り成果を出し続け、財テクや副収入をえて更に稼ぎ続けることが必要です。完全なるAタイプの人間であればそれも可能であるかもしれません、頑張り続ければ富裕層まで上り詰めることもできるかもしれません。
でも国家安全法はじめ、自由を奪われ、今後苦労して得た資産と所得が脅かされると思えば、香港で最後まで頑張り続けることに意義を見出せない方も多くいるのではと推察します。現に私の香港嫁の家族で30代のカップルは台湾へ移民しました。2020年の香港からの海外移民は約4万人であり、今後も増加の一途をたどると思われます。(台湾が若手一番人気です!)
富裕層の対応
移民してもステイしてもどちらでも。人生ベリーイージーです。現状特段不利益を感じてないのであれば、普通はそのままステイであると思われます。不利益を感じるようであれば他国に移民していくでしょう。
まとめ
ここまでで香港の各ヒエラルキーと今後の対応如何をみてきました。香港で学生デモなどここ数年話題になりましたが、すでに法律が制定され、逮捕者やお勤めに出てしまう人がでてきてしまってますので、大勢は変わらないと思います。一部まだ過激な反対運動を起こそうという若者もいると思いますが、少数になってきました。
香港人は良くも悪くも実利を重んじます。自身にとって有利不利を見極めて柔軟に対応していきますので、今後も各香港人のおかれた状況に応じて一番Bestと思われる道を模索していくことになるはずです。
そうした意味では香港も決して一枚岩ではないなと、現地邦人としては感じているところです。そしてそれが意味するところは、香港の独自性が今後ますます失われていく未来なのかもしれませんね。
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