こんにちは。”ぜろぐら”です。
知り合いや知り合いの知り合いがどんどんと香港から他国へ移民をしています。
そんな状況下で、一度香港の格差や世代ギャップ、そして香港の行く末について書いてみたくなりました。
香港から去り行く若者・・
私の親戚夫婦(30代)が台湾へ昨年移民しました。そして聞いていると知り合いの会社でも今年やはり移民をした人が3組いるともききました。去年コロナの影響が大きかったにも関わらず、海外移民した人数は約4万人といわれています。青年層を中心に移民をする人や移民を計画する人が増えている印象です。香港が暮らしにくくなるに従い、今後も青年層の脱出は続いていくものと思います。
香港の若者が国を捨てて他国に移民する背景には中国の影響が大きいです。中国の国安法が昨年成立し、つい先月には香港の選挙法が改正されました。国安法は中国に対して反抗する市民を逮捕できる法律です。(いろいろ要件がありますが、いざとなればそれは無視が可能な解釈)日本ではニュースになっていないと思いますが、以前のデモ隊参加者が今でも少しづつ捕まっています。(香港民主の女神周庭氏も服役中)
選挙法改正でも、今後立候補時に事前審査を受けることになりますので、事実上民主派の立候補は無理となりました。若い層が求めるのは弾圧のない自由な世界ですので、こうした一連の中国からの圧力に屈してしまった香港に急速に失望しています。こうした流れは今後強まりこそすれ弱まることはないですので、脱出したいと考える若者が増えて当然ですね。青年層も今後の生活リスク(逮捕)と子育てのリスク(香港学校では共産党指示のカリキュラムが徐々に増えている)を鑑みると、やはり移民を考えるところでしょう。
香港の格差と世代ギャップ
以下に香港市民700万人超の移民に対する立場をマトリックスで描いてみました。私の大雑把な予測ですが図を参考ください。
まず世代間を見ていきますと老人はすでに引退しており、都市生活において特段不便がなく、自身の自己実現も大きな問題ではなくなっているので香港にとどまることを望んでいるでしょう。中高年層は難しいところですが、ちょうどお金のかかる子供たちもいるはずですので、あまり積極的に動く雰囲気ではないと思います。青年若年層は基本的には移民したいという思いがあるはずですが、それも経済ヒエラルキーによって違ってくると思います
次に経済格差で見ますと、富裕層は香港の居心地がいいので移民はしないと思います。適用税率が格段に低く、相続税もない香港での生活は””持てるもの”にとっては理想郷そのものです。中間所得層は、香港では一番利得の薄い世代であり、できれば自己実現のためにも、富裕層へのステップアップのためにも移民したいと考えるレイヤーであると考えます。低所得層は政府系住宅に割り当てがあり、贅沢はできませんが、そこそこの生活が約束されていますので、そのままこの利得にあずかり、のらりくらりと暮らしたいと思う人が大勢であると思います。
まとめて行くと中間所得層の青年/若年層が最も移民願望が強く、次いで中間所得層の中高年層が強いと思われます。そう考えていくと、何となくの配分から考えるとおそらく移民を考えているのは人口の24%ほどで、しかしそれぞれ事情もあるので、実際に移民を実施に移せるのは12%ほど(約90万人)くらいではないでしょうか。それぞれの経済力と人生のステージがありますので、一気というわけではなく、ぜろぐらは今後10年もしくは20年というスパンでそれくらいの香港人が各国へ移民するものと考えています。
まとめと香港の行く末
香港は特色のある土地ですし、独自のカルチャーもありますが、実際には移民の街です。イギリス植民地の前はただの漁村にすぎませんでした。香港での生活に利益を感じればそのまま残るし、そうでないなら去る選択もありうる、そんな打算的な性質も持っているし、事実そこは日本人の気質とは異なる部分だと感じます。
香港ではテレビやMTRで、デモの暴力的なシーンを集中的に流したりしてプロパガンダがより一層強まり、民主派への圧力を見せています。今の香港では一種の焦燥感とあきらめの気持ちが渦巻いているように感じますね。おそらく香港カルチャーは徐々に薄れ、青年若年層の脱出が続き、中国内地の移民は逆に増え続け、香港は中国の一地方都市化へと進んでいくのではないでしょうか。(ファイナンスの利便性は香港に継続メリットありますが)
我々ぜろぐら家においては香港に残る選択肢と同時に海外へ脱出する選択肢の二つを用意して、今後の情勢に備えていきたいと思います。
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